サムスンの22万円の折りたたみ式スマホは売れるのか

今朝、サムスンが折りたたみ式のスマートフォン「ギャラクシーフォールド」を発売すると発表した。

 

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ディスプレイは全部で3つあり、畳めばスマホに、開けばタブレットのようになる。

 

そして、価格はなんと1980ドル〜と日本円で約22万円である。 4月に販売開始予定だが、日本での発売は未定である。

 

世界的にスマホの販売している現在、新たな需要を生み出せるか注目である。確かにギャラクシーフォールドは今までにない画期的な製品だが、私はこれが大ヒットするかは懐疑的である。 そう考える理由は主に二つある。

 

まず一つ目に、イノベーションのジレンマが起きている可能性がある。 イノベーションのジレンマとは、顧客が求める品質以上の製品を生産してしまい、ニーズとずれて結果的に失敗に終わることを指す。

 

技術者の観点からすれば、品質の高いものを作り続けたいという欲求がある。 しかし、質の高いものを作るには莫大な開発費がかかり、そのコストが価格に反映されることになる。

 

消費者は質が高ければどんなに価格が高くても買うだろう、というのは技術サイドの幻想に過ぎず、それを防止するためにマーケティングが大切になる。

 

例えば、サムスンの競合であるApple社のiPhoneイノベーションのジレンマに上手く対応した製品である。 日本ではスマートフォン市場の約半分をiPhoneが占めているが、iPhoneには最新の技術は使われていない。

 

指紋認証機能(Touch ID)はiPhone7から搭載されたが、指紋認証技術そのものはiPhone7が発売される前から存在していた。 サムスンのGalaxy Phoneや国内メーカーのスマホにはもっと前から指紋認証機能があった。

 

よって、日本人の多くは機能の豊富さではなくiPhoneそのものが持つブランドに魅了されたということになる。 このブランディングこそマーケティングの核となる部分である。 現在はiPhone XSなど高機能モデルが販売されているが、新型が出たタイミングで値下げされたiPhone8の方が売れ行きが良いのは機能の豊富さより価格の手ごろさがニーズとしてあるということである。 Galaxy Foldにおいてもこれと同じことが言えるのではないかと私は思うのだ。

 

 いくらスマホタブレットどちらの画面を持ち合わせているとはいえ、22万円は高すぎる。 富裕層やガジェット好きの人は好奇心から買うかもしれないが、新しいスマートフォンとして一般庶民に広く受け入れられることは難しいんじゃないかと思う。

 

もう一つ欠点を挙げるとすれば、バッテリーの持ちが非常に悪くなりそうだということだ。 待機時間はまだ発表されていないので詳しい数字はわからないが、ディスプレイが3つになれば単純に考えてバッテリーの持ちは三分の一になる。

 

さすがに三分の一なることはないだろうが、持ちを良くするバッテリーをさらに強化する必要があり、重量も従来のスマートフォンよりかなり重くなるのではないだろうか。

 

スマートフォンタブレットは用途がある程度棲み分けられているので、スマホしか必要ないときでも常にタブレットと同じ重さを持ち歩かなければいけない。

 

それは私にとってはとても不便に感じると思う。

 

そもそも私はタブレットすら持っていないが、不便に感じたことはない。パソコンとスマホがお互いの短所を補ってくれるのでタブレットの用途がいまいちわからない。電車の中でタブレットを使っている人は大体電子書籍を読んでいる気がするが、私は本は紙媒体派だし、電子書籍は何より目が疲れそうで敬遠している。

 

上記の理由より、私はギャラクシーフォールドが日本で発売されても買わないだろう。日本ではタブレット保有率がそこまで高くないので、市場としてはかなり微妙な気がする。

 

それでももし興味がある人がいたら、海外に行ったついでに買ってみてはいかがだろうか。